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「軽井沢マジック」 1997年 11月 文庫初版
「諏訪湖マジック」 2002年 10月 文庫初版
「猪苗代マジック」 2006年 11月 文庫初版
「鬼蟻村マジック」 2012年 6月 文庫初版
「東尋坊マジック」 2014年 12月 文庫初版
定価 572円~761円+税 382頁~505頁
<1> 水乃紗杜瑠。28歳、独身、美男子。ホームズのような推理・いや「さとり」のように言い当てる。二階堂蘭子より軽い乗りで、結構こちらの方が読みやすい。
<2> 武田信玄の墓を求めた郷土史家が失踪する。娘が水乃に捜索を求めるが、すでに大宮で鉄道に轢断されていた。時刻表トリックに挑戦する一篇。推理小説の一つのパターンアリバイトリックをすごく意識しすぎて、このシリーズの軽さの良さが損なわれている。トリックは○、けれどキャラクターが生きていないので×。でも蘭子よりは○。
<3> 水乃サトルと美並は、猪苗代の高級リゾートの調査にやって来た。一応仕事で。ところが、バブル期に作られたそこは、観光開発という名目の基にもと高級官僚や前町長などが、補助金で私腹を肥やしたと噂が立っていた。そしてその二人が、次々に殺され、傍には《処刑魔》の犯行声明が張られていた。《処刑魔》とは10年前に同じような連続殺人事件がありその犯人だったが、すでに死刑が執行されているはずだ。つてをを頼って強引に捜査にもぐりこんだサトルだが、セキュリティ完備のマンションで起こった密室とアリバイの謎を解きほぐせるのだろうか?関係者全員を事件現場に集めての謎解きなど、かなりエラリー・クイーンを意識した作品に仕上げている。
<4> 女子の先輩に頼まれ、サトルは婚約者の振りをして、長野の酒造家の旧家にやってくる。それは鬼の末裔という噂も家だが、先代が亡くなり、先々代の命で幼い子供が次の当主と決められ、先々代の妾の娘たちがとりあえず、家の管理を任されていた。けれど、皆母が違い、酒造の主導権をめぐって対立していた。そこにサトルがやって来たわけだ。この家では昭和初期に鬼によるっ密室殺人が起こり、今また鬼からの警告状らしきものが送られてきて、次々に殺人事件が起こる。横溝正史の世界を髣髴させるような物語。
<5> ツアーの下見のために美並とともに金沢も東尋坊にやってきたサトルだがいつものように事件が起こる。東尋坊で拳銃による殺人事件が起こったのだ。その目撃者となった美並だが、いつものように一言多いサトルは、そのため疑われて警察署までつれてこられる。偶然隣の京都まで来ていた馬田警部の証言で、宿に帰る事はできたが、その交換条件として、馬田警部が追っている”冥妖星”連続殺人の解決に手を貸す事になる。1976年に最初の事件が起こり、それから4年8年ごとに事件が起こる。いづれも3月1日未明に殺されて、砂浜に遺棄されていたのだ。その関連を探り、新潟から京都・島根の現場を探る。一方の東尋坊の事件は、保険金目当ての偽装結婚や、やくざに弁護士殺しと結びつき、交換殺人の疑いが強くなるがそのアリバイが崩れない。そのかつての被害者の調べから”冥妖星”の犯人らしき男が偶然浮かび上がる。アリバイ崩しと連続殺人。サトルは無事事件を解決できるのか。
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